無期刑(無期懲役・無期禁錮)と終身刑との違いは?~日本の刑罰~
はじめに
どんな人で犯罪を犯した場合、刑罰に科せられるのは当然です。
その刑罰の中でも無期懲役刑は死刑の次に重い刑だと言われています。
では、無期懲役とはどんな刑罰であり諸外国で科せられている終身刑とどういった違いがあるのでしょうか?
また、無期懲役と死刑判決を分ける基準とはどういったもので、無期懲役になると一生刑に服することになるのでしょうか?
また、仮釈放とはどういった制度なのかについても詳しくご紹介します。
無期懲役とは
そもそも無期懲役とは刑法第12条にある自由刑の1つですが、この自由刑の中で一番重く、刑罰の中で2番目に重い刑だと言われています。
では、この無期にはどういった意味があるのでしょうか?
- 無期とは無期限を意味しているため、無期懲役となると無期限で懲役刑が科せられる・・ことを意味しています。
つまり、無期懲役刑を科せられれば20年、30年経っても自由になるということは望めません。
ただ、死亡した場合は刑務所の外に出られるため、無期というのは一生懲役刑に服することを意味しています。
いっぽうで、無期に対する言葉は有期という言葉であり、有期懲役となると懲役刑が科される期間が決まっていて、日本では原則的に20年が有期懲役の限度だと決められています。
ただし、他の刑罰が合わさる場合は加重されるため最長30年になることがあります。
この有期懲役だと刑務所からいつかは必ず出られる・・ということになりますが、無期懲役だとそれがないため根本的に全く違う刑罰とだと言えます。
仮釈放とは
それでは、仮釈放とはどういうものなのかご説明しましょう。
- 受刑者が一定期間懲役刑を受けた場合、刑務所長の判断や審査、さらに受刑者の意思により取られる措置のことです。
この仮釈放を受けた場合、刑務所から出所できますが仮釈放期間中に刑務所長から受けた条件に反する行為を行ったり、犯罪行為をすると刑務所に戻されます。
なお、仮釈放が許される条件には受刑態度が良好である、刑期のうち一定期間が経過している(刑期の3分の1以上、無期懲役の場合10年以上)、事件についてじゅうぶん反省している、本人が仮釈放を望んでいる、再犯の恐れがない・・などの条件を満たしている必要があります。
無期懲役から仮釈放になるには
では、無期懲役判決を言い渡された人がどうすれば仮釈放になるのでしょうか?
- 法務省の資料によれば、無期懲役の人が仮釈放されるには30年経過してから・・となっており、ここで認められないと、さらに10年後再度仮釈放審理が行われると決まっています。
この仮釈放審理は3回までと定められおり、3回と決められている理由にはもし30歳から服役していたとすると、3回目の審理が終わるのは80歳と高齢になるためで、社会復帰が望めない可能性があるからです。
無期懲役と死刑を分ける基準とは
現在、日本には死刑制度がありますが、無期懲役と死刑を分ける基準とはいったいどういうものなのでしょうか?
殺害した人数
はっきとした基準は設けられていませんが、1人殺害した場合は死刑になる可能性は低く、ほとんどの場合2人以上殺害した場合に死刑になる可能性が高いです。
4人以上の殺人となればほとんど死刑になるようですね。
被告人の状況
被告人がどんな境遇で育ったか、事件の経緯や犯罪を犯した動機、犯罪歴や被害者の遺族の感情や犯罪の残虐性・・など、さまざまな視点から無期懲役か死刑かが判断されることになっています。
更生の可能性があるか
死刑は加害者の命を奪うもので、判決を下す場合慎重になります。
無期懲役の場合社会復帰の可能性がありますが、その可能性が全くなくもし社会に復帰した場合事件を再び起こしてしまう可能性があるような人は死刑判決を下される場合があります。
終身刑とは
次に終身刑とは死ぬまで懲役に服する刑罰のことで無期懲役と似ているようですが、そもそも日本に存在しない刑罰です。
アメリカの一部や、イギリス、オーストラリア、デンマーク、中国など、死刑制度のない諸外国や地域では最も重い刑罰と言われています。
- なお、終身刑には相対的終身刑と絶対的終身刑とがあり、このうち絶対的終身刑の方は仮釈放が期待できない無期限の懲役刑のことで、一般的に終身刑と言われるものはこれを指していることがあります。
さて、では日本には存在しない終身刑のメリットにはどのようなものがあるかと言うと、刑務所で一生罪を償うことや再発を防止できること・・などがあります。
ですが、デメリットもあります。
それは終身刑を言い渡された受刑者が自暴自棄になってしまうことや、一生刑務所から出られないと決まっているため開き直ってしまい従順でなくなり、管理する側にとって扱いが難しくなるということです。
無期懲役と終身刑の違いとは
みなさんもご存じのとおり、日本には現在法律上終身刑という刑罰は存在していません。
ただ、無期懲役は懲役の期限を定めていないので、実質的に終身刑のような刑罰であるととらえられています。
ただ、根本的に無期懲役と終身刑は同じではなく、終身刑は生涯を通して刑務所にいることが決められているもので、いくら若くても歳を取っていても刑務所で拘禁が解かれることは望めません。
いっぽうで、無期懲役は懲役の期限が決まっていないということで、終身拘禁されるということが決められているわけではありません。
ですので、受刑者が若者の場合にはある程度年数がたつと拘禁が解かれる場合があります。
- つまり、将来的に拘禁が解かれる可能性があるかどうかが無期懲役はと終身刑の大きな違いというわけですね。
まとめ
- もし、無期懲役刑を言い渡されてしまうと、最低でも30年間は刑務所に入っていなければなりません。
25歳で刑務所に入ったとすると、釈放されるのは55歳ということになります。
そうならないためにも、弁護士に相談するのがおすすめです。
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まずはご相談だけでもなさっていただきたいです。
みなさんのお力になれるよう最善を尽くすことをお約束します。